「なぜ、子供は掻くのか?」~オペラント条件付けの話題(再掲示)
2017年01月21日
今回は、いつもと違う観点からアプローチしてみます。習慣性掻破行動・オペラント条件付けのお話です。
掻く理由を考えたことがありますか?
一つは・・
・掻くとかゆみがおさまることで快感が得られて、不安が軽減される。
まあ、当然ですよね。。。。
実はもう一つ理由があったりします。。。。
・掻く仕草をすると親は必死になって、掻くのをやめさせようとします。「大丈夫かしら?」と考えます。そして、母親は軟膏を塗ったりしてスキンシップをしたり、相手をするようになります。そうすると子供は、このように掻く仕草をしたりして、「親が相手にしてくるようになった。」と思うのが快感になって、わざと掻くようになるのです。
この視点は重要です。。さらに掻いたり、逆に湿疹を悪化させることで母親から自分に意識をもってもらおうと子供は努力する。母親はそこが理解できず、さらに母親は子供の湿疹に不安になるという悪循環になるわけです。
この話は、特に兄弟がいる場合にも重要です。
よく問題になるのが、赤ちゃんが新しくできた時の兄のお子さんに顕著になりますので、これを例にしてみます。
赤ちゃんができると母親は赤ちゃんにつきっきりになります。今までは母親を独り占めにしていたお兄ちゃんは、何とかして「僕にも意識をもってほしい」と思うのです。そうするとお兄ちゃんはいろいろ母親から意識をしてもらおうと作戦を考えるわけです。その時に「湿疹」「かゆみ」があれば、掻く仕草を極端にすることになりますので、湿疹が悪化してしまう、というわけです。。
思い当たるお母さんはいらっしゃいませんか?? 結構、多いかもしれません。。
兄弟がいる場合、兄の方がアトピーが悪化しやすい印象がいつもしていますが、この一因もあるかもしれません。
対策は簡単です。「掻いてない時でも愛情をもって相手にしてあげてください。」 そして、「掻かなかったら、よく褒めてあげてください。ご褒美も良いでしょう。」 そうすると逆に良い条件付けになってきます。。
この理論でいきますと・・・「掻いちゃ、ダメ!」 と怒ることは、かえって悪くなるのは目にみえています。
「子供が親にとって好ましくない行動をとる。その原因は子供にとっては逆に好ましいと感じている。」という小児行動学の理論から、皮膚科に応用したお話でした。
薬物療法も大事ですが、こんなことも考えながら平行して行うと湿疹の治りがよくなることも考慮してみましょう。
このあたりのお話もまだいろいろありますので、また書きたいと思います。。
(参考)成育医療センターの大矢先生の講演資料から院長が重要であると思うことを患者様向けに分かりやすく解説しました。