当院では紫外線治療が充実しています。難治性の皮膚疾患でお悩みの方はご相談ください。

2017年10月12日

光線療法は、主な疾患としてアトピー性皮膚炎白斑乾癬掌蹠膿疱症円形脱毛症の治療に用いられています。上記の疾患であれば、保険が適用されます。

(関連記事)紫外線治療Q&A

何回か当てる必要がありますので通院が必要です。週に2回で行うと効果が早く出ますが、週1回でも構いません。

光線療法がなぜ皮膚の病気に効くのでしょうか?その機序は、大きく分けると2つあり、1つは制御型Tリンパ球の誘導による免疫抑制です。もう1つは、病気の原因となる細胞にアポトーシス(apoptosis) を起こさせるためといわれています。アポトーシスとは、多細胞生物の体を構成する細胞の死に方の一種で、個体をより良い状態に保つために積極的に引き起こされる、管理・調節された細胞死のことです。

当院では4種類の医療機器があります

全身型ナローバンドUVB
①ドイツWaldmann社製キャビン型紫外線治療機器5002

治療効果があるとされる311nm付近の波長を照射できるナローバンドUVB機器です。UVセンサーシステムで常に放射照度をモニターするため、正確な照射量で照射できます。

42本のランプがあるため、従来のデルマレイよりも短時間に照射できます。全身に照射する場合で1/10の短縮になり、患者様の負担は軽減されます。

 

②デルマレイ-200

治療効果があるとされる311nm付近の波長を照射できるナローバンドUVB機器です。デルマレイは、ベッドに寝て楽に照射できますので、安全な治療が可能です。

 

局所型エキシマライト/レーザー

当院では、効果が高く、かつ有害事象が起きにくい2つの医療機器を採用し、その特徴を考慮して、多彩な病状に対応した治療を提案していきます。

③セラビームUV308 slim  (ウシオ電機)  エキシマライト

エキシマライトと呼ばれます。開院当初より導入している機器で、途中から新しい改良型のslimを使用しています。ナローバンドUVBよりさらに治療効果のある波長とされる308nmにシフトさせています。この波長の変化によって、ナローバンドUVBよりも皮膚の少し深い病変にも効果が出ます。

このセラビームの機器の特徴は、他のエキシマライト機器と比較すると、エキシマフィルターが搭載されており有害な波長をカットする能力に優れています。よって、紅斑や色素沈着は他のエキシマライト機器と比較すると起きにくいため、治療がとてもしやすいです。

エキシマライトは狭い範囲にしか照射できないことが特徴ですが、セラビームはその中でも照射範囲の大きい機器で12×12㎠の部位を一気に照射できます。有効性に優れ、照射時間が短いことが大きな利点です。

 

④XTRAC モメンタム(JMEC) エキシマレーザー

エキシマレーザーの医療機器です。海外においては20年以上の実績がありますが、日本においては2019年2月に薬事承認を取得し、9月に保険収載されて、治療に用いられるようになりました。当院では2025年11月11日に導入しました。エキシマレーザーは308nmの単一波長のみを照射するため強力なエネルギーで照射できます。照射部位との距離が空いても減衰しないことも特徴です。

単一波長の利点は、次のような点も重要です。エキシマライトではピークが308nmの波長であるものの、実際にはいろいろな波長が少しずつ混じります。特に308nmより短い波長は紅斑反応や色素沈着の反応など有害事象を起こしやすいということが言われています。そういうことを考慮すると、エキシマレーザーではそのような有害事象は起こしにくいことになります。それにより、エキシマレーザーではエキシマライトより照射量を上げることが可能になります。

また、輝度(光の明るさの度合い)が8300万㎽/㎠と、普通のエキシマライトに比べると桁違いの値となっているため、同じ照射量でも照射時間が短時間になります。よって、照射時間は非常に短く、あっという間に高い照射量を照射できしてしまうことが大きな利点です。また、この輝度は効果面でも良い働きがあるという報告も出てきています。このような性質の機器であるため、かなり狭い範囲(2×2㎠)のみの照射ですが、難治性の皮膚疾患に対しての治療効果が期待されています。

 

疾患別光線治療の方針

乾癬

乾癬は病変が広範囲のこともあり、全身型ナローバンドUVBで治療することも多いです。一方、膝・肘・臀部など局所的な改善を期待する場合は局所型エキシマライト/レーザーで治療します。ステロイドとビタミンD3の配合剤外用 ・タピナロフ(商品名:ブイタマー)外用 ・PDE4阻害剤(商品名:オテズラ錠)内服との相乗効果も期待できます。

白斑

狭い範囲であれば局所型エキシマライト/レーザーで治療しています。広範囲には全身型ナローバンドUVBも可能ですが、有効率や効果が出るまでの期間などの確認が必要です。

掌蹠膿疱症

手足への光線治療は、効果の面と、照射がしやすいという観点から局所型エキシマライトであるセラビームを使って治療しています。掌蹠膿疱症は難治の病気であり、外用治療や内服治療(オテズラ、ビオチン)などと併用して治療することもあります。

アトピー性皮膚炎

広範囲の湿疹病変には、ステロイド外用に加えて全身型ナローバンドUVBを使用します。痒みに対する効果も強いです。個人のニーズにあわせて、いくつか治療メニューを考えていきます。ただし、ステロイド外用に変わる治療ではありません。

円形脱毛症

外用剤や内服剤などの薬物治療で難治な円形脱毛症に対して行っています。脱毛部位に局所型エキシマライト/レーザーで照射します。

 

当院では4種類の紫外線治療機器を組み合わせて、難治性の皮膚疾患の治療に取り組んでいます。是非、ご相談ください。