金属アレルギーについて~① 接触による金属アレルギー (再掲示)
2017年02月26日
当院では金属アレルギーをパッチテストで検査することができます。
金属のパッチテストを行う意義は・・
①金属の接触による接触皮膚炎(かぶれ)の原因を確定する。
②アトピー性皮膚炎、貨幣状湿疹、汗疱状湿疹、掌蹠膿疱症の病気が、金属を多く含む食品の摂取過剰で起こる場合があり、それを調べる。→こちら をご覧ください。
③歯科金属でのアレルギーを調べる。掌蹠膿疱症はその関連が指摘されています。
今回は①金属の接触による接触皮膚炎(かぶれ)の話をします。「ニッケル」「コバルト」「クロム」がほとんどを占めます。
貴金属(指輪、ネックレス、ピアスなど)のアレルギーで多いのは「ニッケル」。アクセサリーでは高価なもの以外は、「ニッケル」はほとんど入っていると考えてよいと思います。「ニッケル」は金メッキの下地にも使われています。貴金属のアレルギーではそれに合併して「コバルト」のアレルギーもあります。ニッケルメッキにはだいたい微量の「コバルト」が入っています。貴金属に含まれる「コバルト」は少量ですが、感作されやすく反応が強いためです。
「クロム」は革製品での接触皮膚炎(かぶれ)の原因になることがあります。革手袋、革靴、自転車のグリップ部分、テニスラケットのグリップ部分、時計の革バンドでのかぶれがよくあります。建築現場で働く人の場合はセメントでのかぶれに注意します。クロムメッキにも注意ですが、実はニッケルも含まれており、頻度としてはクロムではなくニッケルでのアレルギーが多いようです。
「金」そのもののアレルギーは比較的少ないですが、「合金」に注意します。「合金」には「銀」「銅」「ニッケル」「パラジウム」などの金属が混在しており、それらのアレルギーによってかぶれることが原因になっていることがあります。すなわち「合金」は「純金」に比べてアレルギーの可能性が高くなります。でも、「金」そのもののアレルギーもないわけではありません。「金」のアレルギーの場合は、普通のかぶれだけでなく、結節(けっせつ)といってしこりになっちゃう人もいます。この場合、ピアス部の被害が多いです。
もう一つ、説明しておかなければいけないことがありました。金属は汗に溶出してアレルギーを起こすため、汗をかきやすい夏に発症・再燃・悪化する一方、アレルギーがあっても冬には支障がなく数時間の着用であれば可能なこともあります。
当院では患者さん用プリントにさらに詳しくまとめたので、気になる方は診察時に言ってください。
(関連項目)
(第1版 2015年10月12日)
(第2版 2017年2月26日)