いろいろな皮膚の病気③‐A 酒さ(しゅさ)について
2022年09月22日
★静岡市駿河区「いのうえ皮ふ科」の 酒さ(しゅさ) のページです★
酒さ(しゅさ)という病気があることはご存知でしょうか。
いろいろな皮膚の病気 第3弾です。
顔の皮膚炎のトラブルは当院では非常に多くなっています。今回はその話題のコラムです。。
もちろん、そのほとんどが湿疹群(アトピー性皮膚炎、花粉皮膚炎、接触皮膚炎(かぶれ)、脂漏性皮膚炎)です。
ですが・・・やっかいなのが、酒さ(しゅさ)という病気のことがあります。他の皮膚科で治らないというケースで当院に来院されるパターンが多いです。。
症状としては、赤ら顔になり、丘疹や膿疱などブツブツした発疹が出ることがあります。
詳しく見ると・・・赤ら顔を詳しくダーモスコピーでみると皮膚の表面の毛細血管が広がっています。そして、毛の炎症を起こしてブツブツの症状が出てきいることが確認できます。
傾向としては、中年の女性に多く悩んでいる方がおります。(ただし、男性でも若い人でもいますが・・・)
皮脂が多い人がなりやすい等、体質も多いですが、吸入系のアレルギー(花粉やダニなど)で増悪するケースもあったりで、個々によって対策や治療法の相性が違ったり、季節の変化などによっても変化するので、とても繊細な病気という印象です。
病態としては脂腺毛包系の炎症で、湿疹(病変の主体が表皮)と違い、酒さの場合は炎症が真皮という少し深い部分で起きているといわれています。また、毛包虫(にきびダニ)や微生物の影響なども関係しているということも分かっています。
また、その他、ステロイド外用薬の副作用で起きる酒さ様皮膚炎や、口の周りに酒さと似た症状が出る口囲皮膚炎もあります。(酒さ様皮膚炎。口囲皮膚炎についてはこちらで紹介していますので参照してください)
酒さの治療薬 主に外用薬
酒さに対しては、抗生剤や漢方の内服と、以下のような外用の治療を組み合わせます。ここでは外用薬について解説しています。
保険治療:ロゼックス(一般名:メトロニダゾール)
2022年に保険治療が可能になりました。酒さのところには活性酸素種(ROS)が増加して炎症を起こしていますが、それらの生成を抑制することで抗炎症作用として働くようです。
メインとしてはブツブツ(丘疹膿疱型)に強い効果がありますが、毛細血管の広がりによって生じる赤み(血管拡張型)にもゆっくり効く印象です。
その他 保険外治療:アゼライン酸
アゼライン酸も酒さに対する治療効果があります。酒さの病態には自然免疫が亢進して様々な炎症を起こしているということがあり、アゼライン酸は自然免疫作用を抑えて効果が出てきます。
ただし、日本では保険での薬はなく、自費治療すなわち化粧品購入というかたちで治療が可能という現状です。
当院では20%高濃度アゼライン酸含有の製品を販売しています(DRX AZAクリア ロート ¥1,980)
ロゼックスと併用可能ですし、相乗効果も期待できますので、オススメです。
また、妊娠中・授乳中でも可能ということもあり、とても使いやすい製品となっています。。。
こちらもメインとしてはブツブツ(丘疹膿疱型)に強い効果がありますが、毛細血管の広がりによって生じる赤み(血管拡張型)にもゆっくり効く印象です。。
その他、酒さの赤みを隠すアゼライン酸10%入りのカバー化粧品も販売しています。(スキンケアエマルジョングラファAZ グラファ ¥3,850)
→製品につきましては、こちら(アゼライン酸含有製品のご案内)を参照してください。
(関連項目)
・酒さ様皮膚炎 口囲皮膚炎(いろいろな皮膚の病気③‐Bで紹介しています。)
(いろいろな皮膚の病気シリーズ)→一覧はこちらを参照してください。
・いろいろな皮膚の病気⑧~毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)
(関連お知らせ)
・にきびなど顔症状を診察希望される方へ~化粧は落として受診してください
(2024年9月22日記載)